認知症のタイプと原因
詳しくは最寄の医療機関で確かめてください
主な認知症と原因となる病気
認知症そのものは病名ではなく、いくつかの症状の集まりのことをいいます。 身近な例でいうと「風邪」も症状の集まりで、
症状
発熱、咳、くしゃみ、鼻水、のどの痛み、だるさ、食欲不振…
風邪症状をひきおこす原因
A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、ロタウイルス、アデノウイルス、インフルエンザ菌…
といったように、症状も原因も様々です。 ここでは、主な認知症といくつかの原因となる病気について説明します(症状はこちらのページへ )。
主な認知症
- 脳血管性認知症
- アルツハイマー型認知症
- レビー小体型認知症
- 前頭側頭葉変性症
- 前頭側頭型認知症
- 進行性非流暢性失語
- 意味認知症
認知症の症状がおこる可能性のある病気
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脳血管性の障害
脳血管障害
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退行変性疾患
いずれも原因は不明で徐々に進行する
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アルツハイマー病
進行性核上性麻痺:眼球が垂直方向に動かない、転びやすい、構音障害など。認知症も合併する。
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パーキンソン病
動作が緩慢、手足の震え(振戦)、筋肉の萎縮がみられる。初期には認知症はみられないが、後期にはみられることもある。
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レビー小体病
幻視(ないはずの小動物が生き生きと見えるなど)。転びやすい。パーキンソン病と同様の歩行障害や認知症を伴う。
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ピック病
特有な人格変化、反社会的行動、反道徳的行動を主症状とし、それに認知症が次第に加わっていく。
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ハンチントン舞踏病
性格変化を主とする精神障害と舞踏様不随意運動(特に顔面、手足など)があらわれる。大脳の萎縮、脳室の拡大、神経細胞の障害などが認められる。
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ALS様症状を伴う認知症
ALSは「筋萎縮性側索硬化症」で、運動神経の細胞が消失していき運動機能障害をおこす病気。まれだが認知症を伴うタイプがある。
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大脳皮質基底核変性症
前頭・頭頂葉の皮質及び皮質下諸核の神経細胞が侵される。認知症の他に失行、パーキンソン症状、眼球運動障害などがみられる。
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内分泌・代謝性中毒性疾患
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甲状腺機能低下症
種々の原因により、甲状腺ホルモン分泌が低下した状態で、無気力、易疲労感、かすれ声、皮膚の乾燥などの症状があらわれる。放置すると認知症や精神・神経症状があらわれることもある。
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下垂体機能低下症
下垂体自体または、視床下部の障害によって下垂体から分泌されるホルモンの分泌低下によっておこる。
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欠乏症
ビタミンB1:糖代謝に重要な酵素であるthiamineの欠乏は脚気やウェルニッケ脳症をもたらす。ビタミンB12:赤血球の成熟に必要であるビタミンB12(コバラミン)が不足すると巨赤芽球性貧血(悪性貧血)を生じる。ペラグラ:ナイアシン(ニコチン酸)の欠乏によるペラグラ(胃腸障害、口内炎、下痢、紅斑、神経・精神症状)によっておこる。下痢、皮膚炎、不眠などがおこり、原疾患の治療が行われないと認知症の状態に至ることがある。
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肝性脳症
肝機能の極端な低下によって意識障害や精神症状が起こるもの。
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低血糖症
血糖血が下がりすぎて身体の活動性を維持できなくなる。脱力感、めまい、眠気、顔面蒼白といった症状があらわれる。後遺症として認知症を残すことがある。
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アルコール脳症
過度の飲酒を繰り返すことで、アルコール依存になり、神経障害があらわれる。
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薬物中毒
有機溶剤などの薬物による中毒症状。
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感染性疾患
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クロイツフェルト・ヤコブ病
蛋白質(プリオン)が異常な蛋白質に変化して発症する。急速に進行する認知症、不随意運動、四肢麻痺などが特徴である。
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亜急性硬化性全脳炎
SSPE。血液・髄液の抗体価の上昇、麻疹または麻疹様ウイルスの長い潜伏期の後に発症する病気。脳の萎縮などが認められる。
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進行性多巣性白質脳症
PML。主に大脳白質(大脳皮質の髄鞘に覆われている神経細胞の走行するところ)の髄鞘があちこちで破壊される病気で、免疫機能異常と関係して発症することが多い。視力障害、構音障害、認知症などがあらわれる。
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脳炎・髄膜炎
細菌やウイルスなどによって脳や脊髄を包んでいる組織(髄膜)が破壊されることによっておこる病気。頭痛、発熱、意識障害などがおこる。
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脳膿瘍
脳の中に細菌感染がおこり、膿がたまった状態。頭痛、発熱、全体倦怠感などが一般症状である。
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進行麻痺
長い年月、体内に潜伏していた梅毒スピロヘータが脳を侵して発症する慢性脳炎。認知症症状と手足の痙攣、体の麻痺がおこる。
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腫瘍性疾患
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脳腫瘍
腫瘍の局在によって、多種多様な神経症状、精神症状、内分泌症状を呈する。神経膠腫、悪性リンパ腫など。
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髄膜浸潤
ずいまくしんじゅん。腫瘍細胞が脳表の髄膜に浸潤し意識障害や精神障害をきたす。
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外傷性疾患
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慢性硬膜下血腫
頭を打撲した後、脳を包む硬膜の下に出血がおき、脳が圧迫されて起こる病気。1ヶ月ぐらいしてから、頭痛、不全片麻痺、歩行障害、認知症などがみられる。
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頭部外傷後遺症
転ぶなどして頭を強く打ち命をとりとめても残る様々な障害で、麻痺や言語障害、認知症などがあらわれる。
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その他
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正常圧水頭症
認知症、歩行障害、尿失禁を特徴とする。髄液圧は正常であるが髄液の吸収障害のため脳室が拡大する。
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多発性硬化症
中枢神経系の脱髄疾患(髄鞘がこわれる)のひとつで、脱髄斑があちこちにでき、病気の再発を繰り返す。視力低下、四肢の麻痺、しびれなどが主な症状である。
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神経ベーチェット病
口腔粘膜と外陰部の潰瘍、皮膚症状、眼症状を主症状とするベーチェット症候群に伴う中枢神経症状で、脳炎、脳脊髄炎などの形をとる。
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